食べられないものが1つや2つの場合、「偏食の子どもへの向き合い方①」の方法を試せますが、特定の食べ物ばかり食べて、それ以外は食べない場合はどうしたらよいでしょうか。食べられないものが多すぎるパターンです。
どこから手をつければいいか悩みますが、まずはお子様をよく観察してみましょう。改善の糸口は、他ならぬ目の前の我が子にあるからです。
観察のポイント:どんなところが好き?
- 「食べられるもの」と「食べられないもの」を整理する。
- 「食べられるもの」ものはどういう点が好きなのか?(見た目、におい、味、食感、硬さなど)
- 「食べられないもの」はどういう点が嫌いなのか?(見た目、におい、味、食感、硬さなど)
お子様に「どんなところが好き?」「どんなところが苦手?」と尋ねてみるのもおすすめです。
法則が見えてきましたでしょうか?
子どもがどんな理由で食べ物の「好き」「嫌い」を感じているのか、覚えておくと対策しやすくなります。
「好き」なものから食べられるものを増やす
お子様が好むポイントを把握できたら、今度はよく似た食材を試してみます。
例えば、トマトばかり食べていて、どうやら「ぶにゅっとした食感」が好きなようだと分かったとします。
そこで、ぶにゅっとした食感のものを集めます。
ぶどう、みかん、熟した柿、牡蠣、しいたけ、なす、おくら、ゼリー……。ちょっとでも要素がかすっていればOK、思いつくままに書き出します。
もしかしたら、この中に食べられるものがあるかもしれません。食べ物に限らず、苦手を克服するよりも「好き」を伸ばす方がストレスは少ないです。
「嫌い」なところを改善してみる
次は、「食べられないもの」の嫌いなところを改善する方法です。
また、トマトを例に出しますが、トマトの「ぶにゅっとした食感」が嫌いな子のパターンです。この場合、ぶにゅっとした食感を感じにくくする工夫をすれば、食べられるようになるかもしれません。例えば、種とゼリーの部分を取り除く、ドライトマトにするなど。
「ぶにゅっとした感じがないように作ってみたから、食べてみて~」とひと言添えたら、食べてくれるかもしれません。
「食べられた!」という経験は、子どもにとって大きな自信になります。「自分から苦手なものに挑戦する」きっかけとなり、次々に偏食が改善していく場合もあります。
それでも激しい偏食が長期間続く場合
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚など、外部からの刺激に過剰に反応する「感覚過敏」の特性を持つお子様もおられます。その特性のために、食べられるものの幅が狭くなっている場合もあります。
偏食が長く続くと、口腔機能の発達や健康状態に影響すること、2年以上好き嫌いが続いた子どもは改善した者より、好みが強く、新しい食べ物を受け入れない傾向があることが分かっています。
成長曲線から外れている、いろいろ試してみても1年以上重度の偏食が続いているなら、病院に相談してみましょう。最近は、偏食外来を設けている病院もあり、適切なアドバイスをもらえます。
まとめ
まずはお子様をよく観察して、「食べられるもの」と「食べられないもの」を整理しましょう。現在「食べられるもの」を突破口に、食べられるものを増やしていくと効率的です。「食べられないもの」も調理方法を工夫すると食べられることがあります。いろいろと試してみても、重度の偏食が長期間続く場合、一度専門機関を受診してみてもいいですね。
参考資料:
磯田友子ほか(2024):小児の摂食嚥下障害専門外来における偏食に対する取り組み,障歯誌45
會退友美ほか(2013):幼児期前期における嫌いな食べ物の質的変化に関する縦断研究,栄養学雑誌71(6)
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