生後5~6ヶ月頃に離乳食を始めるわけ
日本では、生後5~6ヶ月頃を目安に離乳食を始めるように勧められています。
母乳がたくさん出る場合でも、生後6ヶ月以降の母乳は、鉄、ビタミンDが不足するので、食べもので補う必要があります。
おっぱいやミルクをのみ過ぎて食事が進まず、食べものからとるべき栄養素が不足してしまわないように気をつけましょう。
また、食物アレルギーを心配して、離乳食の開始時期を遅らせる方がおられますが、生後5~6ヶ月頃に離乳食を開始し、たんぱく質を口から摂取していくことで食物アレルギーの予防になることが分かっています。
おっぱいはいつまで?
では、おっぱいはいつまで続けるのでしょうか?
1日3食、食事から最低限栄養をとれていて、母子手帳の「乳幼児身体発育曲線」に沿って順調に成長していれば、栄養面ではおっぱいやミルクをやめてもOKです。
お母さんが授乳をやめることを「断乳」、お子さんが自然にのまなくなることを「卒乳」といいます。
日本では、離乳食から幼児食への移行期、月齢でいうと生後18ヶ月頃に卒乳することが多いようです。授乳タイムは母子のコミュニケーションでもあるため、授乳を続けるメリット・デメリットを知ったうえで、最終的にはお母さんの意思を尊重されるのがいいと思います。
卒乳の時期については、WHO(世界保健機関)とUNISEFは2才かそれ以上まで、米国小児科学会(APP)では、生後約6か月から補完食を導入し、母と子がお互いに望む限り2歳かそれ以上まで授乳することを推奨しています。
2歳を超えて授乳を続けることのデメリット
- 食事が進まない
ただし、欲しがるままに与えるのは、離乳食完了期までにしましょう。
それ以降は、おっぱいを続けるにしても朝と晩の2日だけという風にして1日3食と間食1~2回のリズムを作っていきます。そうでないと、おっぱいでお腹が膨れて食事が進まず、摂食機能(のみ込む、噛む)の習得に影響が出ます。
- 口腔機能の発達が遅れる
例えば、2歳になっても哺乳瓶を使用している場合、乳児嚥下が残ることがあります。
乳児嚥下とは、生後すぐに獲得する、おっぱいをのみ込む機能です。通常、乳児嚥下は、離乳食が進み、成人嚥下を獲得するうちに消失します。成人嚥下は固形物をのみ込む機能です。
離乳期~幼児期に乳児嚥下から成人嚥下へうまく移行しないと、後々、食事の悩みだけでなく、口呼吸、睡眠関連呼吸障害、不正咬合、発音障害など、口腔機能に問題が生じるといわれています。
2歳を超えてから、スムーズに卒乳するには
2歳を超えてのおっぱいは、栄養面よりも精神面のウェイトが大きいと思いますので、おっぱいに代わるコミュニケーションツールが見つかればいいですね。
母子で遊んだり、お話ししたり、おっぱい以外に楽しいことを探してみましょう。日中はお出かけするようにすれば、その間はおっぱいのことが忘れられるかもしれませんね。
まとめ
生後5~6ヶ月頃には離乳食を開始することは、栄養面(鉄、ビタミンDなどの補完)で必要です。この時期に口からたんぱく質をとることで、食物アレルギーの予防にもなります。
卒乳は、離乳食から幼児食へ移行する生後18か月頃が多いようです。卒乳時期は最終的にはお母さんとお子さんで決めることですが、2歳を超えても卒乳しない場合、場合によっては口腔機能の発達に影響が出ることを頭に入れておきましょう。
参考資料:
外木徳子(2023):口腔機能発達のカギは「舌」の育成にある~離乳食期からの取り組み~,睡眠口腔医学May2023
髙橋摩理(2017):小児の摂食嚥下機能の発達とその障害,リハビリテーション・エンジニアリング32(4)
「母乳と母乳育児に関する方針宣言」2022年版 抄訳(Abstract and Key Recommendation)(米国小児科学会)
『医師が教える子どもの食事50の基本』(ダイヤモンド社)
コメント