「もったいない」食品ロス。原因と削減のために個人でできることを考える。

日本では1年に約523万トンもの食品が捨てられています(令和3年度)。

食品に限らず、世間は今、断捨離ブーム。

物を捨てることを「もったいない」と育ってきた世代からすると、なかなか踏み切れないのですが、サクサクと捨てられる人は“物”ではなく、“空間”や“時間”にもったいなさを感じているようです。

使わない物を置いておく空間が「もったいない」、使わない物に埋もれて本当に使う物が見つからない時間が「もったいない」と。

こんな風に価値観が変わったのは、おそらく私たちが所有する物の数が昔に比べて増えたからです。

これは食品にも当てはまります。

この記事では、どうしてこんなにも食品ロスが出るようになったのか、その原因を考察します。個人でできる食品ロス対策も提案しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

「もったいない」思想は日本発祥。

元々は仏教用語で、この世のすべての物事は有難く、物の価値がなくなるまで十分に使い切らなければもったいないという意味が含まれています。

着るものも食べものも自然の恵みをいただいて作った大切なもの。

ひと昔前まで、日本人は着るものは繕いながら、食べものは保存食にして、物を一切無駄にすることなく暮らしていました。

「もったいない」思想から生まれた循環型社会。

そんな日本人は「自然の恵みの一部をお借りしています」という気持ちで暮らしていたので、物を大切に使い切ったら、最後は自然に返していました。

例えば、家畜や人間のふん尿は、体にとっては“使い切った”後の廃棄物ですが、土に施す=自然に返せば作物の栄養となります。

このような社会では、誰かの廃棄物が他の誰かの資源になるので、ただのゴミは少なくなります。

生産者と消費者が完全に分かれてしまった。

動物は食べなければ生きられないので、食べものを得ることに一日の多くの時間を費やします。人間も昔はみんな狩猟採集、農耕で一日が終わっていました。

しかし、文明が開けると、食料生産以外の仕事が生まれ、食料生産に従事しない人が増えます。そういう人も食べなければいけないので、お金で食べものを買います。

かつて食べものは誰にとっても「自分で獲得して食べるもの」でしたが、今では「獲得=生産する」人と「消費する人」が完全に分かれてしまいました。

生産者は今でも収穫物に自然の恵みを感じることができますが、遠く離れた消費者には難しく、「もったいない」という感覚が薄れているのかもしれません。

「緑の革命」飢えは減ったが、食品ロスは増えた。

「緑の革命」による食料増産で、爆発的な人口増加に対応することはできましたが、食料が増えたために、食べものの値段が下がってしまいました。

UKでは家計に占める食費の割合が20世紀半ばの30%から21世紀初めには10%に下がったそうです。

「価格=物の価値」という感覚のもと、食べものの価値が下がったように錯覚し、多めに買って(作って)余ったら捨てる、という行動パターンが生まれてしまったのかもしれません。

まとめ:「食べる分だけ」を意識すれば、食品ロスは減らせる。

家庭で出る食品ロスに限っても、年間約244万トンも発生しています。

個々人の行動を変えることで、この数字は減らすことが可能です。するべきことは至ってシンプル。

必要な分だけ買う→食べられる分だけ作る→そして、食べ切る!

つまり、断捨離するほど物を持たない。食べものも必要以上に持たない。ということです。

ぜひ今日から実践してみてください。

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